ROUTINE(ルーティーン)
名詞:決まりきった仕事、日常の仕事、型にはまっている手続き(手順)、慣例。
形容詞:決まりきった、変わった事のない、単調な。
この言葉は今年の2月、沖縄合宿帰りの飛行機の中で、ある心理学の先生から聞いた言葉である。「なぜ練習でヘルメットをしないのか?」と言うところから話は始まった。レースの時と同じようにすることが練習ではないのか。練習で出来ない事はレースでは出来ないと、先生は言いたいようだ。
自分で理解はしていても、実行していなければ何の意味も成さない。それを人からズバリと忠告されると、人は黙ってしまうか、あるいは逆切れするか…に分別される。暑いだの何だの、言い訳ならいくらでも用意できたが、私は…黙ってしまった。
練習でヘルメットをするかしないか…小さい事かもしれないが、いつものようにしなければ勝利を見出せない。やけに印象に残った言葉であった。
優勝したい!と思い続けて早14シーズン目。練習・レース前に必ずするいつもの事がある。あたりまえと思われるかもしれないが、ストレッチと動き作り、つまり準備体操だ。今はこれをしてからでないと、自転車に乗りたくないと思うほどになっている、いつもの事なのである。
若い頃はそれをしていなかった。がむしゃらに練習しても、次の日には回復する若さがあったが、今は違う。身体が目覚めるのも遅いし、回復にも時間がかかる。しっかり準備しておかないと身体は起きないし、アフターケアをしないと次の日に疲労が残るのだ。
準備体操には40分ほど時間をかけている。家でなら練習出発の、遠征先ならホテル出発の時間を逆算して、いつものように動き出す。奇妙な動きに最初は笑われたが、もう慣れた。
この決まりきった仕事、単調な事を続けていると、人は飽きを感じる。学生の時、伊達巻を作るアルバイトをしていた事があった。流れ作業の単調な仕事に、時間がゆっくり流れあくびをし飽きがくる。また練習でも、ひたすらまっすぐな河川敷を延々走っていると、つまらないし飽きがくる。
ところが、この単調な作業を続けていると、その作業の中にでも面白さを発見することがある。それを言葉で表現するのは難しいが、いつものように続けることによって、違った方向からも、その作業をとらえられるようになるのだろう。
ストレッチという単純な仕事も続けていくうちに、違った角度からその作業をとらえられるようになり、その中にも面白さを発見できるようになるのだ。これが基礎を広げると言う事なのか。
優勝したい!と言う事は頂点を目指す事。それには基礎がしっかりしていないと、頂上には登れないだろう。「ヘルメットをする」「ストレッチをやる」といったことは、普通の人にとっては些細な事かもしれない。しかし、そういった些細な事をしっかりできる者が頂点にたどり着けるのではないかと思うのである。
とはいえ、どうしようもなく、飽きが来たら?…ぶち壊せばいい。それはそれで、そこには、違う発見があるだろう。そして、そこから、新しいルーティーンを確立すればいいのだ。そして今度は、それを極めていけばいい。
ルーティーン。価値のないもの、魅力のないものとして語られがちではあるが、このルーティーンを極めることこそが、勝利へとつながっているのではないだろうか。自分は、これからも、ルーティーンと向き合っていきたいと思う。 |
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| プロフィール |
| 品川真寛 選手
ベルギー育ちの若手ライダー
若干21歳にして既にベルギーで4シーズンのレース経験を持つ。得意とするクリテリウムでは国内トップレベルの力を発揮。'02年は全日本実業団丸岡ロードで、U23の選手としては10年ぶりの優勝を果たした。トレーナーも驚くほどのフィジカルの強さを武器に、'04年、念願のU23チャンピオンに輝いた。 |
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