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ロードレースという世界を知って、はや15年という月日が流れた。これまでの人生の半分を、車輪の上で過ごしてきた計算だ。
数え切れないほどのレースを走ってきた。その中には至福の喜びを与えてくれたレースも何度かあったが、それも一晩寝たら褪めてしまう。俺は何のために走っているのだろうと、時々考えるが、答えはない。
勿論、目標はある。あのレースで優勝して、あのレースでこれこれのタイムを叩き出す。そして今よりも強くなる。日々進歩している証のために強くなりたい。目標の選手像もある。良い時に徹底的に良く走る選手よりも、良くない時にも何とか凌いでくる選手になりたい。本当の強さには、何かが欠けていてもいけない。20代の俺の競技生活は、波の上で走っているようで、自分が強いのか弱いのか、わからなかった。30代になった今、肉体的にも精神的にも自分をコントロールして行きたい。
所属するミヤタ・スバルが、こんなチームになったら良いな・・というのもある。例えば、逃げのグループにウチの選手が乗ってないとする。そんなときでもササッと先頭に出てきて、皆してローテーションを始められるチーム。当たり前の事だけど、これが出来るチームは少ない。無線なんかなくてもやりくりできる選手達の集団。でも馴れ合いはいけない。一人でも生きていける強さを持った人間の集団でなくては。
これまでいくつものチームに所属してきた。それぞれのチームに色があり、俺を鍛えてくれた。移籍する度に、「このチームで全うしよう」と思ってきたし、次の事なんか考える余裕はなかった。でも今年、こうしてミヤタ・スバルの一員として迎えてもらった。これまでの全てを総動員してミヤタ色に染まる決意だ。
かつてミヤタは国内のレースで無敵を誇った時代があったと聞く。それとこれは全く関係ないかもしれないが、横綱相撲が取れるようにならなければ、世界への扉は開かない。俺達の次の世代が・・とは言わない。今現役で走る以上は、俺達自身がまた出ていくんだという迫力が必要だ。「若いモンには・・」と、自分が吐く世代になった。でも、レースは「ドン」と同時に年も経歴も生い立ちも関係なくなる。野球にしろ陸上にしろ、選手の高齢化は進む。世の中全体が高齢化なんだから、それに乗じない手はない。
そして、これまで俺を支えてきてくれた、多くの人達に良い報告をする為にも、頑張りたい。「優勝したんですよ!」と報告する所を、よく想像する。トレーニングの帰りには、ガッツポーズの練習もする。後は現実に、一人で逃げてくるだけだ。全ては整っているし。
でも最初にも書いたが、俺が何の為に走っているのかは、まだわからない。車輪の上で考える。
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