プロフィール
谷田貝 恵美
1999年に夫である久保幸司氏と世界一周スタート。中国から走り始め、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、インドなどを訪れ、3年8ヶ月で41,000kmを走破。呑んべえな2人のホームページの旅日記「100円あったら何食べよ」は必見!
著書:「旅は最高!」
※下記2人のホームページから購入申込みできます。

久保幸司&谷田貝恵美の
ホームページ
 
Wheel Talk 目次
8月20日号「仕事のことをお話します」
9月13日号「ベンチャービジネスとしてのメッセンジャー」
10月21日号「救急メッセンジャーのその先のそのまた先へ!」
11月27日号「ここから、ここを含む世界へ」
12月24日号レーサーでなく「チャリダ−」
1月24日号 「自転車に乗ることと、食べること」
2月21日号 「最高の走りにつなげるために」
3月27日号 「“スポーツは文化”を地域から」
4月25日号 「メッセンジャーと風景」
5月21日号 「私がスポーツ自転車普及にハマったワケ」 
6月27日号 Panaracerは、「茄子 アンダルシアの夏」を応援します!
8月28日号 「何故か魅力的に感じてしまって・・・」
9月25日号 「初めての世界選」
10月27日号 「走った後は、地酒だぜ!」
11月25日号 「すべてから学ぶ」
12月25日号 「いつもスペシャル★」
1月21日号「MTB XC競技のトップ選手であり続けること」
2月27日号 「忘れられない一日」
3月26日号 「無名な普通のバイカーより」
4月22日号 「世界で日本人選手が活躍する為に…」
5月27日号 「被写体としての自動車と自転車」
 世界各地を走っていると、その土地ならではの食べ物やお酒にめぐりあえる。 いくら風光明媚なところを走っていても、頭の中は「今日は何食べよっかな−・・・!」なんて考えているもので、そこに地酒の匂いをかぎつけようものなら晩餐の楽しみは急上昇だ。今回は地酒天国、アフリカでのお気に入りを何点かご紹介したい。
 まずは、エチオピア。私たちは世界一周78カ国を巡ったが、その中で最も貧しい国であろうこの国に、恐ろしく洗練された特製酒がある。「タッジ」という蜂蜜酒だ。大きなやかんからフラスコそっくりのガラス瓶に注いでくれ、甘くオシャレなカクテルといった感じである。お酒が苦手な女性でもいけそうだ。 大きな町で入ったタッジバーは、長いすを連ね何十人も入れるようになっており、オシャレとはとても言えないエチオピア男性の面々がフラスコでぐびぐびやっていた。 

 田舎の小さな村や集落になると「テッラ」があった。こちらはヒエかアワで造った穀物酒。店は大がかりな飲み屋ではなく、酒を造っている民家そのままだ。使用済みのトマト缶なんかに注がれて出てくる。衛生状態は下下下の下って感じで、鬼太郎がでてきそうだが(意味のわからない方すみません)、アフリカを旅していると衛生も何もなくなってくるので、まったく気にならない。いろんなカスも浮いているが、それを「ペッペッ」と吐きながら飲む。私的にはこの「ペッペッ」のテッラの方が甘くなく好きだった。
 店をのぞくと、薄暗い中で皆が午前中から一杯やっている。「ダラダラーチョ」と言って入っていくと皆大笑いで迎えてくれる。これは皆がダラダラしているからではなく、こんにちわの挨拶言葉だ。そこから先はまったく言葉は通じない。身振り手振りの会話と酒好き同士の雰囲気で楽しくやれてしまう。
 エチオピア以上に感激したのがタンザニアだった。タンザニアでは各地で民族自慢の地酒が楽しめた。キリマンジャロ山の麓の町モシでは「バナナビール」を味わった。酸味があって、バナナの香りがする。でっかいバケツみたいな容器に入って出てくる。小で1L、大で2L入りだ。景気がいいではないか! しかも1Lあたり13円! こういった良心的な価格だと、客の方も景気のいい飲みっぷりで応えなくてはいけない。二日酔い走行となってしまうのが難点と言えば難点であった。 

 モシ以降も100km、200km走ると民族が変わり、別の地酒にお会いできた。 サトウキビビール、サトウキビ&蜂蜜酒、ココナツ酒、とうもろこし酒・・・。  タンザニア人は相当陽気な人たちで、これまた言葉はほとんど通じないけれど、かなり笑えた。ボリューム満点のおばちゃんたちとは店の裏で「連れション」の仲(店にトイレなどない!)にまでなった。澄んだ空気の中、星を頼りの暗がりにしゃがみこむ。大騒ぎの酒場の裏、おしっこの音と私たちの笑い声が響いていた。
 最後にもう1国、マラウイについて。この小国にもいい酒あり! 「インターナショナルビール」と大きく銘打った酒、「チブク」である。1L入りの紙パックに入っていて、色は白赤青の三色。「shake shake」なんてロゴがあるから、ミルクシェイクと間違える旅人もいたが、これはれっきとしたとうもろこし酒である。パックによって量がまちまちだったり、うわずみのカスの量もいろいろだが結構イケた。 

 マラウイの場合、このチブクを売る店、「チブクバー」の存在が大きかった。 小さな町で食堂は無くても必ずと言っていいほどチブクバーはあった。大音量で音楽を鳴りたてていたから、すぐにそれとわかった。
 マラウイ人は気が優しく、バーでもすぐ友達になった。互いにおごりあってチブクを回し飲む。夕暮れ時になってたどり着いた村で流れている大音量。そのすぐ近くに出ている屋台でわずかの肉と揚げキャッサバ(芋)を買い、バーへ足を運ぶ。ほっとしたような、うきうきしたような気分。自分でもおかしいくらい、あの風景を懐かしく思う事が今もある。
 私たちにとって水は命、コーラは禁断の清涼飲料、酒は現地の人たちとの潤滑油だった。