| 日本での活動も1年が経とうとしている。
ツール・ド・フランスやワールドカップなどのレースをテレビで見たり、インターネットで結果を見てもピンとこなくなってきた。
過去のレースの結果などを検索していて、自分の名前が出てきても「自分にもそんなことがあったなぁ・・・」と過去のことだ。
もうすっかり「ふつうの日本人」である。
パナレーサーの開発に携わるようになってから早10年が経とうとしている。
その多くの年数は海外での滞在が占め、何度となくベルギーの石畳や荒れたアスファルトでテストを兼ねた練習を繰り返した。
「このタイヤ使ってみてください」
軽い走行感。これならレースで使えば最高じゃないか?
しかし、雨の日の練習ではあっさりと鋭利なものが刺さりパンク。
一日に3回。
予備のチューブも底を着き、雨の中を35キロもパンクしたまま走って帰ったこともあった。
「やっぱり雨では刺さりものに弱かったですか・・・その辺を知りたかったので」
ああ、せめて先に言ってくれれば、近場で距離を稼いだのに・・・
知らされずにこの手のテスト(今思えば人体実験である・・・)は数多く繰り返された。この努力は無駄になっていない。
その都度、「ここをこうして欲しい」とか「ここをこう変えれば良いと思います」という風に連絡を取り合った。
現在のパナレーサーのタイヤは、数多く繰り返されたテストの結果を元に作られていて、その信頼度はすこぶる高い。
ベルギー滞在中は、タイヤが送られてきてはテスト。
使用したタイヤのデジタル画像をメールに添付してナショナルタイヤさんの開発陣へ送り、後日製品を郵送というのがパターンだった。
今となっては懐かしい思い出である。
今だから言えるが、当時所属していたチーム事情もあって、マーキングをつけないタイプのタイヤを作ってもらい、日本でも有名なビッグレースで使用して好成績を残すことも出来た。
今年の新製品に向けて、昨年から多くの練習やレースでタイヤをテストしている。
そのどれもが今まで以上に改良され、満足のいくものだ。
練習しているとベルギーに滞在していた頃をふと思い出すことがある。
荒れた石畳に叩きのめされ、冷たい雨に顔を叩きつけられた。
今となってはそのすべてが「自分にもそんなことがあったなぁ」と、過去のことだ。
もうすっかり「ふつうの日本人」である。
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