MTBのレースに真剣に取り組んでいたのが3年ほど前まで。とにかく速くなりたくて、1人で黙々とトレーニングをするか、自分より速い人と走りたいとばかり考えていました。
そんなある日お世話になっていた自転車屋さんのお客さんに「乗り方を教えてよ」と声をかけてもらいました。「たまにはのんびり走るのもいいかな」と思い、私が先生、その方が生徒となり、気楽に引き受けていつものトレーニングコースへ。誘ってくれたその方は、MTBに乗り始めて2年ぐらい、やっとオフロードを楽しめるようになったばかりの中年肥り予備軍、まずはダイエットといったいわゆるビギナークラスのレベルの方。
いつものコースは丘陵地帯で小刻みなアップダウンを繰り返す快適なシングルトラック。1人で走れば足を付く事がほとんど無いはずのコースでした。なのにそのときは・・・ ちょっとした石や根っこで滑り、コース幅の狭いところで前輪をコースアウトさせるなど、どうした事か、全く上手く走れませんでした。それどころか、「教えてよ」と言ってくれたその方のほうがミスが少ないような・・・ 私にとって経験した事が無いほどのゆっくりなペースでの走行で気付かされました。自分はもっと上手いと思っていたのですが、どうやら「スピードでごまかしていた」ようです。例えば、上り坂の途中にある根っこを乗り越える時、スピードがあれば惰性を活かして通過できますが、ゆっくりではそうは行かないのでした。後輪が根っこに乗っかった時にペダルを漕げば滑るのは当たり前。じゃぁ、どうすればいいのか、それが分らなかったのでした。どちらが生徒か分らなくなってきました。
それからというものとにかく「ゆっくり」にこだわって走りました。すると、MTBは荒れた路面ではちゃんと操作をしないと真っ直ぐ走る事も難しい事や、肩の力を抜いて全身がリラックスしていないとヨロヨロとしてしまう事、でも的確な操作をする事でMTBはそれに答えてくれることなどに気が付きました。また、スピードに余裕があるおかげで視界が広くなり、目で見て通りたいと思ったラインをトレースしていく事を意識でき、すべき操作を判断して、的確な操作を行なう時間が生まれました。姿勢を低くする事で、肘と膝をサスペンションとして有効に使い、前後左右の体重移動で行き先の方向や障害物に最適な乗車ポジションを作るなど、どれもコレも基本的な事を1つ1つこなしていくが重要なのだと気が付きました。ゆっくり走れるようになった今、おかげでレース終盤のふらふらな時も体力を無駄遣いすることなくスムースに走れるようになりました。つくづくきっかけをくれた生徒さんに感謝している次第です。
現在、自転車屋を営む傍ら、クラブ活動の中で毎月1回MTBのビギナースクールを開催しています。少し経験がある男性よりも、全く経験の無い女性や子供たちのほうが上達が早かったりします。また、ベテランの方たちも基礎の見直しに来られると「目からウロコがぁ・・・!」なんてことも多いようです。
頑張って走る事に行き詰まったときは、これ以上ゆっくりは走れないというスピードで走ってみませんか。きっと新しい発見がありますよ。
|

|
スクールでのパイロン走行。ハンドルを目一杯切って曲がる。 |
|
| プロフィール |
| 三上 和志 氏
埼玉県飯能市で「サイクルハウスMIKAMI」を営む32歳。周囲に恵まれたフィールドがあり毎週土曜ロード、日曜MTBのツーリングやスクールを開催中。「サイクルクラブ3UP」を主宰。レース活動にも積極的に参加。JシリーズXCでは現在もエリートクラスで参戦中。「セルフディスカバリーIN王滝」では9位。
サイクルハウスMIKAMI
〒357-0035 埼玉県飯能市
柳町3-11
tel/fax 0429-74-4490
URL http://www.mikami.cc
|
| |
フィールドに恵まれた埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」
|
|