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7月26日号 「I-nac(国際アウトドア専門学校)と私、そしてMTB」
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ここ数年、マウンテンバイクの世界に裏方として携わり、最近では友人からよく「首までドップリ浸かってる!」なんて事を言われる事もあるようになったが、そんな立場から見た「マウンテンバイクって?」って事を書いてみたいと思う。
このところ審判員や運営側としてジャパンシリーズなど、いわゆる日本のトップカテゴリーのレースから草レースと呼ばれるローカルレースまで幅広く見てきて思うのだが、どちらも選手(出場者)が固定されている様な気がするのである。レース会場で会う人はいつも同じなのである。と言っても同じという意味合いは状況によって少しずつ違うのだが。
まず、トップカテゴリー=ジャパンシリーズの場合、「同じ」とはすなわち「世代交代がない」と言う事である。もちろんここで言う世代交代とは引退して後身に道を譲れと言う訳ではない。全ての人に体が動く限りは競技を続けて頂きたいと思う次第である。では、なぜかというと入ってくる人が少なくて出ていく人も少ないからである。故にいつも「同じ」メンツでレースが進行していくのである。それは即ち、もちろん今非常にがんばっているジュニアやアンダー23のライダーはいるが、若手の絶対的な数が少ないのである。無論それらのクラスは年齢分けが細かいので全体的に統計を取れば少なくなるのは当然であるし、ある程度経験がものを言う競技なのでベテランが活躍できると言う事も十分理解しているつもりである。でも、心配なのはそのベテランもいつかは「トップ選手である事」を辞める時期が来るのも事実だ。今年競技を惜しまれつつも辞めた選手がこのホイールトーク上で見ても2人(南部博子・戸津井俊介両選手)いる。残念なのはもちろんだが、いずれは誰にでも訪れる事なので仕方がない。でも、ただ仕方がないとは言っていられない。ゴルフで言えば宮里藍・横峯さくら選手のような次世代を担う若手が数多く登場し、そして台頭して欲しいのである。
また、草レース(ローカルレース)の場合、「同じ」とは毎回欠かさず参加している人がいると言う事である。即ち参加者のリピート率が結構高いのである。この様な人の場合、ジャパンシリーズ並みに年間でスケジュールを立てて、「このレースだけは毎回出場する!」と決めている事がある。また、そのような人に限って会場には家族で来ている。もちろん子供がいればその子も参加している事も多い。また、子供に限った話ではご両親共にマウンテンバイクに乗らない、なんて人もいる。単に子供がやりたいと言ったからやらせている、と言った具合だ。また、おもしろい事にリピーターはリピーターを呼ぶのである。どういう事かというと、自分自身楽しんでいるのが周り(職場なり学校の友達など)に伝わり、おもしろそうだからと言ってその周りの友達が1度参加する。そうすると多くの場合、その人が今度はハマってしまい、リピーターとなって、ともすればまた新たな参加者を引き連れて現れたりする。レース運営側からすれば非常にありがたい事であると同時に、自分たちがマウンテンバイクの普及に一役買っていると言う事を実感できるうれしい瞬間である。
ここで私が言いたいのはその両者がたいていの場合、クロスオーバーしていないのである。もちろん両方に出場している人もいるだろうが、実際には少ない。また、仕事の都合などで両方出たいけど、と言う人もいるだろう。
さらに、子供達に関して言えば、年齢が上がれば上がるほど競技人口が減っていく傾向にある。大体小学校高学年でまず減り、次に中学生、さらに高校生になるとほとんどいなくなる。その傾向はジャパンシリーズでは子供のクラスがないので不明ではあるが、我々が主催している「全国小中学生マウンテンバイク大会」や「a.b.c. cup」で顕著である。ただ、自分の中高生の時期を考えてみると、ちょうど今までに経験し得なかった楽しい事を知る時期でもあり、将来の為に勉強もしなければならい時期と重なるのも事実であるが、私自身は幸か不幸か楽しい事の中にマウンテンバイクが含まれていた結果、今日に至るのである。
さて、そんな状況を打破し、日本のマウンテンバイクシーンをもっともっと盛り上げて行くにはどうすればいいか? 自分なりの回答としては、中間層の充実がキーワードではないかと思う。もちろんよく言われる底辺の拡大も大事だと思うが、底辺ではマウンテンバイクの楽しさの半分も体験できないのではないか?と思う。より多くの人に楽しさを十分理解してもらう為にも頂点から底辺まできれいなピラミッド型になることが望ましいと思う。
現在、先にも書いたようにジャパンシリーズなどで審判業務などに従事していると自然とトップライダーと親しくなる。仲良くなるにつれて競技以外の事も話題に上ったりするが、現在トップライダーの多くは競技はもちろんだが、競技以外、特に普及に目を向けている。自分たちがプロとして競技を続けていく上で、速いだけではなくその速さを見てくれる人が必要な事、さらに言えば、その速さを理解できる位マウンテンバイクを好きな人が必要な事を十分理解している。中には自分自身の影響力を承知の上でそれを普及活動を通して一般の人達に還元しようとして実際に行動しているライダーもいる。あるライダーが「自分が普及活動をする事により若手が育ち、自身の成績を脅かす位になれば、悔しさもあるだろうが本望だ」と言っていたのが印象深い。
なんかレースの話ばかりになってしまったが、もちろんマウンテンバイクにはツーリングから最近では通勤ライドなんてもっともっと他の楽しさがあるのも十分分かっているつもりではいる。ただ、欲を言えば次の北京オリンピックでは録画でもいいからマウンテンバイク競技の放映が男女共にもっと増えて欲しいのである。もちろんマスコミで取り上げられるのが目的ではない。テレビなど媒体の力を使ってより多くの人の目に触れる事により、マウンテンバイクに興味を持つ人もいることであろう。そこからが我々マウンテンバイクバカの出番である! 一人でも多くの人にマウンテンバイクの魅力を伝え、第二第三のマウンテンバイクバカを育てていく、また、そんな中の人達から世界で金色のメダルを獲れる人が出てくる、そんな夢のような時代が来る事を願って止まない今日この頃である。

審判員でもある阿部氏。(前列右から3人目)
日本のMTBシーンをもっと盛り上げようと活動している。

これからを担う子供達をクインストラクターとして指導する阿倍氏。

 

プロフィール

阿部 剛士 氏
(あべ つよし)

1973年生まれの31才。中学生の時、故平木康三氏のショップ「Wildcat」で買ったマウンテンバイクにはまり、高校卒業と共に競技にも参加するようになる。競技ではそれほど大した成績はないが、次第にレースの運営などに興味を持ち、徐々に手伝いを頼まれるようになる。ここ数年は日本マウンテンバイク協会でレースの企画・運営、選手の管理などの傍ら、インストラクターとして普及・啓蒙活動にも従事。目下の悩みはイベントがあるとなかなか週末の里山ライドに行けない事。
日本MTB協会(JMA)A級インストラクター、IMBAナショナルマウンテンバイクパトロール、JCF公認マウンテンバイク審判員1級

日本マウンテンバイク協会HP
www.japan-mtb.org