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私がMTBに乗るようになって感心した事は、どこでも行ける事だ。もちろん自転車の最大の喜びは自分の動力で遠くへいける事だが、MTBは行動範囲を更に広げてくれる。普通の人が歩くのに精一杯というようなところでも、どんどん進んでいけるのが面白い。ましてやトップレベルの選手ともなると、あきれるほどオールマイティー。考えられないところもスルスルと進んでいく姿は、驚きを通り越して不思議な感覚にとらわれる。
さて、そんなMTBで行けないところといえば水中。それなら泳いでしまえば何とかなる。そして、さすがのMTBも歯が立たないところは走ればいい。その3つを組み合わせれば、人力でどこだって移動できるということになる。野を越え、川越え、山越えて、どこだって自力で進んでいける喜び。これでワクワクしない人は不幸としか言いようがないだろう。
そんなワクワクを競技にしたのが「XTERRA」というスポーツ。文字通り地球と交わるというスポーツで、泳ぐ、漕ぐ、走るをオフロードで行ういわば「オフロードトライアスロン」だ。1996年にマウイで生まれ、今では世界15カ国、100大会あまりが開催されており、昨年は日本でも2大会が開催された。私も98年から参加し、その不思議な魅力にハマってしまった一人。トライアスロンよりワイルドで、アドベンチャーレースよりスポーティー。微妙なポジションが心地いいのだ。あまりにものめり込んでしまった挙句に、とうとう日本でこのスポーツを作る方に回る事になってしまった。
そんな訳で日本では出場者になれなくなり、そのストレスを晴らすべく、年に数回だけ選手になれる貴重なレースが、4月9日に開催された「XTERRAサイパン」。日本から3時間のフライトで行ける事もあり、全体参加者の3割が日本人だ。サンゴ礁の海を泳ぎ、ジャングルを駆け回るこのレースは、普通の人ではまったく行かないようなところに入っていく。MTBではサイパン唯一の山である「Mtタポチョ」への上りが最大の勝負どころ。南国の日差しを感じながら、汗まみれでペダルを踏む。それが終わって安心してはいけない。テクニカルなシングルトラックの下りが気を許す事を許させない。あまりMTBに慣れ親しんでいない人も多いので、このパートは周りの草木に突っ込む人、転ぶ人が続出していたとか。その後はジャングルラン、これもフラットなところはビーチだけという難コース。すべて走り通せるのはトップの10人程度だ。木々をかき分けて上って行き、滑りやすい岩場の下りを越え、洞窟にもぐり、最後は砂浜を走る。砂浜は見るのは美しいが、走るのは地獄。ところどころで観光客が応援してくれたり、冷ややかな目でみたり〜そうしてやっと求め続けたフィニッシュゲートにたどり着くのだ。
コースが厳しいほど、レースが厳しいほど、克服した充実感は高いもの。身体を冷やしながら、飲み食いしながら他の選手と語りあう時間が心地よい。このレースにおいて、一緒にスタートした選手は敵というより「戦友」。あそこで転んだとか、あそこは苦しかったなど、走ったものだけが共有できる連帯感。この中では、怪我だって自慢になってしまうから不思議だ。この気持ちを得る為に走っているといっても過言ではないだろう。
さて、こんなXTERRA。今年は日本で3戦開催する予定。日本チャンピオンを決める群馬県の丸沼大会(8月27日)は、美しい国立公園内で走れる最高のロケーション。ただMTBコースはテクニカルなシングルトラックが多く、技術はもちろんタイヤなど道具の選択も非常に重要になる。それもそのはず、コースデザインを手がけるのはMTB元エリート選手ポールチェットウインド。走り応えがないはずがない。兵庫県のグリーンピア三木(7月3日)と千葉県のエアロビクスセンター(9月4日)で開催されるスプリント大会は名の通り短いコンパクト版。よりスピーディーなレースが展開されるが、初心者が気軽にトライできるのも特徴だ。もちろん、すべてのレースにKidsレース、講習会も付帯されているので、家族や仲間で一緒にトライできるのも日本大会の特徴。どんな人だってこの遊びを体験出来るのだ。
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| プロフィール |
白戸太朗(シラトタロウ)氏
スポーツナビゲーター&プロトライアスリート
日本人として最初にトライアスロンワールドカップを転戦し、その後はアイアンマン(ロングディスタンス)へ転向、プロとして息の長い活動を続ける。と同時に、アドベンチャーレースへも積極的に参加、世界中を転戦していた。近年はスカイパーフェクTV(J Sports)のサイクルロードレース実況でお馴染みだが、数々のレースディレクターとしても活動している。「走る、教える、創る、伝える」とスポーツを多角的に説くナビゲータとして活躍中。
白戸太朗氏
オフィシャルHG
www.maidotaro.com
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