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私が自転車にのめり込んだキッカケは、中学の入学記念に買ってもらったサイクリング車で友人達と奈良県の平城京跡まで走りに行った事だった。当時中学生だった私達にとって、往復50kmの行程はサイクリングというよりも『週末の冒険』だった。好奇心旺盛だった私達は我先に『未だ見ぬ土地へ』到達する事を目指し、懸命にペダルをこいだものだ。月曜日の学校での会話は決まっていた。
「俺は昨日1時間で平城京まで行ったで。君はどこまで行った?」
「俺は明日香村まで往復60kmを2時間30分やった。」
「生駒山脈にとんでもない急坂があってん。あれを脚をつかずに登ったら凄いで。」
「じゃあ、来週はみんなで挑戦しに行こか?」
互いに自分が昨日手に入れた勲章を自慢し合っては『来週はもっと大きな冒険を成功させてみせる!』っという、誓いにも似た期待に胸を膨らませたものだった。
あれから20年近い歳月が流れようとしている。私が自転車を始めた当時と比較して随分と自転車の楽しみ方は多様化したように感じる。以前は趣味の自転車といえばサイクリング、競技といえば競輪だったが、現在ではロードレースやMTBの認知度は飛躍的に向上し、メッセンジャーなども一般的に知られるところとなり、楽しみ方の選択肢は多岐にわたっている。より多くの人が自転車の魅力を知るきっかけが増えたのは良いことだろうし、自分に一番合ったスタイルを手軽に選ぶこともできるようになったと思う。
僕自身も夏場はロードレース、冬はMTB・シクロクロスと色々な自転車を色々な人と楽しんでいる。では、“スタイル”によって自転車の本質的な魅力は異なるのだろうか?「ペダルに加えたベクトルを推進力に転化し前へ進む」。僕はこのシンプルなロジックが同じである限り、ロードレーサーであれMTBであれサイクリング車であれ、根底に流れる楽しさは同じなのではないかと思う。たしかに自転車の種類によって楽しむ人の性格・年齢層や趣味趣向は異なっている。しかしペダルをこぎ続ける事によって得られる開放感・スピード感・スリル、満たされる冒険心。さらにこれらが自転車に乗っていると次々と起こり、時間を忘れて夢中になれると言う魅力は、どんな種類の自転車でも同じではないだろうか。きっと今週末も多くの人がそれぞれのスタイルで『週末の冒険』を楽しむに違いない。
斯く言う私も、そんな様々なスタイルを楽しむために「NEX-COLNAGO」という社会人を中心とした「クラブ・チーム」に所属している。チームのメンバーは明日のチャンピオンを目指す者、レースでの完走を目指す者と目標は違うが、それぞれに練習に励んでいる。
チームでの私の役割は選手兼マネージャー。マネージャーの仕事とは、スポンサー様への連絡、レースのエントリー、宿泊の予約、チームのHP(http://www.nex-colnago.com)の更新。さらにはレース会場へ誰がどのクルマに乗っていくか配車を決める事などがある。(クルマ1台にいかに選手と自転車を多く詰め込み交通費を抑えるかはクラブチームの私たちにとって大きな課題となるのです!!)
私自身、フルタイムワーカーでレースに参加している選手でもあるので、正直、マネージャー業が全く負担にならないと言えば嘘になる。しかし、ある一定の年齢を超えた私にとって「練習に集中したい。自分のレースの事だけを考えていたい。」という時期は終わったし、自分の事に集中するだけではモチベーションが保てなくなっているのも事実である。マネージャー業をしていて楽しいのは、自分が世話をした選手が良い成績を収めたり良い走りをしてくれる事だが、それによって自分自身のモチベーションも上げる事ができるので、多少練習時間を削られても自分にはこの仕事はプラスに働いていると思う。チームの若い選手がひたむきに努力する姿をみると純粋にサポートしてあげたいと思うし、フルタイムワーカーとして多忙な中で練習を積んでレースに参戦する選手には、休日のレースを最高に楽しんでもらうお手伝いができればと思う。
私がチームの今の若い選手と同じ年代である20代の前半の頃、チーム監督である安原さんに随分とお世話になった。オリンピックに出場するほどの名選手であった彼が、箸にも棒にもかからない選手だった自分に何かと世話をして下さったのだが、そのお陰で今も何とか競技を続ける事ができている。だから今度は自分がチームの若い選手をサポートして、彼らが少しでも長く高いレベルで競技を楽しんでもらう手助けをしたい。さらに今年、我がチームは若い選手と共に上阪選手・住田選手といった往年の名選手が所属する事になった。私自身、彼らの黄金期を目の当たりにしてきているので同じチームで走れる事だけで光栄に思うし、黄金期の走りをもう一度見てみたいとも思う。
明日のチャンピオンを目指す若者と世界と戦ったチャンピオン達によるチーム「NEX-COLNAGO」。いつかこのチームで「Tour of Japan」や「ツール・ド・北海道」といった大きなレースに出場できる日を夢見て、これからも選手兼マネージャー業という“スタイル”をこなして行きたい。そして、私自身の走る“スタイル”も変わっていくかもしれないけれど、これからもこの自転車の魅力を感じて行きたいと思う。
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