1回目に大学生の時にWHEEL TALKに書かせていただいてから、早くも5年が経ちました。大学生から社会人へ。とはいっても、私の場合は、皆さんもご存知のシマノに就職し、今は設計業務に携わっています。自転車関係の仕事をしていますし、レースの成績が普通のサラリーマンでは考えにくい位置であることから、プロレーサーと勘違いされている方が沢山いるのも事実ですが、このWHEEL TALKをご覧の皆さんと同じくフルタイムワーカーなので(笑)でも、レースがスタートしたらプロもフルタイムワーカーも関係ないですけどね!
さて、この度、私が2回目の投稿させていただくことになったのは、2007年6月3日に日本最高峰のマウンテンバイクレースであるジャパンシリーズ富士見大会におきまして、引退宣言をしたことに端を発します。シーズン途中での、しかも優勝の表彰台でのいきなりの引退宣言。私らしいといえばそれまでなのですが、これには深い理由があるわけです。
「自転車、楽しく乗ってますか?楽しく乗りませんか〜」
私がシマノに入社したいと思ったのは、「もっと多くの人に自転車の楽しさを知ってもらいたいから」です。自分の設計した部品を使って、自転車に乗って楽しいって感じてもらえるようになりたいと思い、その想いは変わることなく今も自分の中心にあります。仕事はきついけど、楽しいと思えることのほうが圧倒的に多いし、この部品で世界中の自転車に乗っている人が笑顔になると思えば、自然と楽しくなって頑張れます。
もちろん設計者の立場ではなく、私自身も自転車に乗って多くの人に影響を与えたいと思っています。だからレースは続けていたのだと思います。レースで成績を出せば多くの人に知ってもらえるから。会社への通勤時間での遠回り、しかも市街地。学生のときよりも圧倒的に悪い練習環境の中でも、自転車に乗れていることがすごく楽しいと思える自分がいます。仕事で嫌なことがあっても、自転車に乗っている時間だけは自然と笑みが出てきてしまいます。多くの人に私が自転車に乗って楽しいと感じていることを伝えたかったのです。レースでいい成績を出したり、なにかとパフォーマンスをして自分の知名度を上げたりする事はその手段でしかないわけです。
でも、その影響を与えられることが出来る範囲と、本当に自分が影響を与えたいと思う範囲が少しずつ、ずれてきていることに、うっすらと気がついていました。私が本当に私自身を知ってもらいたいのは、レースをバリバリやっている方ではなく、自転車って最近面白くないなぁ・・・とか、自転車って本当に楽しいの?って思っている方だと思います。私が楽しそうに自転車に乗っている・自転車に関わっているのを見て、感じてもらって、少しでも自転車に乗って笑顔になれる人を多くしていきたいと思っています。
これからは、そういう人たちと関わることが出来るものに携わっていきたいと思っています。今までのスタンスでレースに出ながらだと、その時間がとれない。だから半ば義務的なレースは一区切りして、そっちに時間を使おうと思っています。私を知らない人が沢山いる場所で、私も1人の自転車乗りとして一緒に自転車を楽しむ。そのときに、私に興味を持って話しかけてくれたり、話をしたりすることで、私が得られることもたくさんあるはずです。そのときは声をかけられなくても、記憶に残って、「やけに楽しそうなやつがいた。しかも速かった!」って思ってもらえたら十分。大切なのは同じ自転車乗りとして対等な立場で話しをしたり、感じ取ってもらったりすること。
私ができる限りで、畑は十分に広くなったし耕したはずです。これからは直接、種を蒔きにいくときだと思います。それらの種はいろんな場所で芽が出て、花が咲いて、種を落として・・・
自分が楽しいと思えるレースにエントリーして一緒に楽しんで、時にはメカニックで裏方的に楽しさを伝えてもいいし、MCとしてマイクを通して伝えてもいい。レースじゃなくても、自分で知らない土地に遊びに行って一緒に自転車に乗って、終わったあとは一緒にビール飲んで騒いで♪そう考えるだけで、すごくワクワクして、また楽しく自転車に乗ってしまうんです!

どんな自転車でも楽しく乗りこなす白石選手(前)

本文写真-2 06年に続き07年もジャパンシリーズ富士見大会で優勝!
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